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ある日、掲示場にお知らせが張られた。そこには、大きな太い文字でこう書かれていた。「医師募集」。このまちの病院に医師が来なくなってどのくらいになるだろう。かつては「腕を磨きたいんです。働かせてください」という医師の卵たちが、ひっきりなしに訪れていた。それがパタリと来なくなった。
すると、みんながさまざまなことを言い始めた。「集める努力が足りないんだ。これまで何かしましたか」「院長のせいです」「市は医者のことを何もわかっていない」「デパートもないまちにだれも来たがらないですよ」「赤字赤字。経営のプロが必要です」
気がつくとお知らせが変わっていた。「病院経営のプロ募集」。 そして病院立て直しのプロがやってきた。「これで大丈夫です」。市長が胸を張った。でも思うように病院改革が進まない。何かが変だ。またぞろ、みんなが言い始めた。「本当にプロなんですか」「人間がやることには限界があるんです。長い目で見ましょう」「手を打つのが遅すぎたんです。まずは病院だった。優先順位
を間違えましたね」「だれの責任だと思います」「市長です」
またお知らせが変わった。「市長募集」
9月に市長選が行われる。巷間伝えられている情報では、またも県議出身者同士の戦いになる気配だ。同じ土壌で育ったもの同士の、さほど変わらない価値観のぶつかり合いになることだろう。
先の郡山市長選に出馬した品川萬里さんが話していた。「どこのまちも課題と処方箋は出ている。要はどう病気を治すか。それは市長の腕、実行力にかかっている」。県議会や政治の常識を最優先させる人たちが、市民の常識に沿った市政運営をするとは、到底思えない。
エドマンド・バーク(イギリスの思想家)は「世の中を悪くするのは簡単。正義感を持つ人が何もしないことだ」と言っている。裏を返せば「正義感を持っている人は行動する義務がある」ということであり、「何も行わないことこそ、最大の失敗である」という言葉につながっていく。
そろそろ、市民のなかから「もうたくさん。一緒に立ち上がって、いわきを変えませんか」と手を挙げる人が出てもいいのではないか。
「WANTED。市長募集します」
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