内緒の話です。
この夏の終わり、四時のタイムトンネルを抜けた広場に、レインボーステーションが出現します。田人ー植田間を往復する“虹バス”の停留所で、乗客は虹を追いかけてナイトドライブするのです。
考案者のシゲノブは、もう10年ぐらい虹をつくり続けています。最初は光や空気を材料に、目に見えないものを見えるようにしようと思いました。三原色のセロファンを使って、太陽の光で描く試みに挑んだこともあります。虹はある日突然、偶然にシゲノブの目の前に現れました。
水と鏡でつくられた虹はとても美しい。その揺らぎ、鮮やかさ。空気や風、光によって刻々と変化する虹が空間に現れ、消えるのです。原理は違うけれど、物に反射した光を色に変えるプリズムも虹をつくるマシーンです。海の白波や飛行機雲、水面
の波紋など、風景の一部を虹にして新しい風景をつくります。
シゲノブは虹を見るたびいつも感動します。その感動をみんなと共有したくて、いろんな場所で一緒に虹づくりをします。その時、そこに集った人たちだけが見られる虹。あどけないまでの無国籍さに、虹には言葉を超えた表現がある、とシゲノブは思うのです。
夏の終わり、シゲノブは季節はずれのサンタクロースになって、虹をみんなにプレゼントします。それは今と昔、未来をつなぐ虹です。あなたの心に残っている虹は、いつ、どこで見たものですか?
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