8月の紙面を読んで、書きたいことがいっぱいある。無言館、井上陽水、宇沢弘文、慧日寺のことなど。しかしやはり選挙のことを書こう。 この稿が出る時にはいわき市長選の結果は出ている。どなたが次の市長になるにせよ、「政治を変えるのは選挙だけ」なのだ。まさに「4年間をだれに託すのか」だ。 8月31日の紙面から、いわき市の最大の課題は医療、と読める。しかし3人のインタビューを見ると違いがよくわからない。原発の問題にだれも触れていないのも気になる。 私は前回、茨城県知事選の争点は東海第二原発の再稼働を認めるのか否か、と書いた。その結果 はご承知と思うが、賛否を明らかにしなかった大井川さんが大差をつけて勝った。新聞社の出口調査では、およそ3分の2が再稼働に反対だったが、その3分の1が大井川さんに投票した。告示日に突然反対を表明した橋本さんと原発再稼働反対を主張した鶴田さんの票を足せば、半数以上が反対になるのだが、それでも原発は争点にならなかった。 今回の選挙を省みて、茨城県は東京の植民地か首相官邸の直轄地、という思いを強くした。24年前もそうだったが、今回の大井川さんの出馬は官邸で決まった。さらに、公明党が大井川さんの推薦を決めたのも地元の都合ではなく、東京都議選でぎくしゃくした自公両党の関係修復のための手打ち、と伝えられている。公明党支持者の8割が大井川に入れたというのだから、これで決まった。 「君子豹変す」と言う言葉がある。原発は国策だから判断しないと言っていた橋本さんは「豹変」した。しかしそのために原発賛成の連合はソッポを向き、期待していた公明票も取れず、あぶはち取らずの結果 となった。 鶴田さんは良心派の人たちの心をつかんだ。しかし出遅れたこともあり、浸透しなかった。原発を争点に引っ張り出したことが成果 と言えよう。新潟県知事選のようにはならなかったが、福島の人たちに今回の茨城の結果 を学んでほしいと願う。 ※崎の字は立と書く方です。
いわき市長選が終わりました。顔ぶれが前回と同じだし、それぞれが争点をずらすので議論が深まらず、とらえどころのない選挙でした。新鮮味がなかった分、現職のところに落ち着いた、という感じでしょうか。 結果が出たあと、ずっと渡辺敬夫さんのことを思っていました。前回の選挙で敗れたあと、よく家を訪ねて、震災のときに何があったのかを聞きました。突然行くのですが、追い返されたことはありません。市長在任中は、ずいぶんと批判記事を書きました。でも意に介さず迎えてくれるのです。他人の悪口も聞いたことがありません。義理人情に厚い親分肌の、古いタイプの政治家です。 情にほだされての立候補で、無理がありました。あの西郷隆盛と重なります。でもそれが、敬夫さんが培ってきた、政治家としての美学なのでしょう。
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