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 10年以上前、仲間の記者と共立病院の医療の連載をしたことがある。赤字の問題が大きく取りざたされるだけで、その数字の裏にある医療現場には目が向けられず、共立病院の医療の揺らぎのようなものを感じたからだった。
 連載の2回目には「縮図」というタイトルで、小児科を取り上げた。医師の顔ぶれが頻繁に入れ替わるなかで、お母さんたちを不安にさせないために、小児科はその2年前に診療体制を変えて、ベテラン医師2人が外来にあたった。しかし、翌年にはベテラン医師の1人も辞めてしまった。
 小児科医が居着かない理由はいくつかあった。1つは少子化に伴い、小児科医になる人が減ったこと。それから共立の勤務態勢。フルメンバーで対応しても、月に5回ほど救急の当番が回ってきた。夜、寝ずに診療して、翌日はいつも通 りに仕事。身も心も疲れ果て、医師は1人、2人といなくなった。
 2年前に研修医制度が変わり、医師不足が全国的に問題になっているが、共立病院では10年以上前から、いま問題視されているようなことが少しずつ起こっていた。でも赤字ばかりクローズアップされ、役割や医療の質は論議されず、ビジョンも描かれなかった。

 医師不足による状況は刻々と変化している。知らないうちに、静かに、病院の勤務医が少しずついなくなり、これまで受けられていた診療が、いつの間にか受けられなくなっている。
 病院はもちろん、行政、医師会も「何かしなければ」と思ってはいるが、いまのところ、何もできず手をこまねいている。このままでは、全国レベルのある程度の医療が、いわきでは受けられなくなるかもしれない。郡山や福島だったら助かったのに、いわきに住んでいたから命を落としてしまったということもありうる。命がかかわるだけに、医療の問題は大きい。

 いわきの医療を再構築しなければならない。いわきは医師の数が極端に少ないわけではなく、勤務医が足りない。それならば、いわきにいる医師を医療資源と考え、とりあえず役割分担をする。同時に、要である共立病院を立て直していかなければならない。
 現況のしわ寄せは勤務医にきている。それを緩和するには病院と診療所が緻密な連携、役割分担をして、それぞれが責任を持つ。その旗振りをするリーダー的存在がいないのなら、気づいた人たちが声を上げて行動するしかない。「どうしていいのかわからない」ではすまない。
 できることはいろいろある。診療所の診療時間を週に数日、延長するとか、診療時間外には無人になってしまう診療所は医師の携帯電話の番号を患者に教えておくとか、二次救急の輪番病院は安易に救急車の受け入れを断らないとか。「現況を乗り切るまで」と期限つきでもいい。できることを診療所や病院がやれば、状況はいくらかよくなる。
 そして共立病院は将来のビジョンをちゃんと描くこと。来春から病院事業管理者が置かれることは決まっていても、医療の視点でのビジョンは描かれていない。それに市は何が大切なのか、お金の使い方を考えること。駅前再開発や文化ホールよりまず、病院だろうという声は少なくない。

 大きな病気をしたら、東京や仙台の病院で診てもらえばいい、とよく耳にする。それも必要なことだが、事情があっていわきを離れての治療が受けにくい人もいる。
 いわきであるレベルまでの治療を受けられることが大切。いわきに住んでいたから命を落としてしまったという地域にしてはいけない。
(大越章子)







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