GIFアニメ 日々の新聞
CONTENTS オリジナルショップ
日々の新聞
風の通る家
いわきクロニクル
オンブズマン
編集後記
招待席

田人お伽草紙
草野天平の頁
HIBINO IN IWAKI
時のゆくえ
仲間たちの野辺送り
蔡國強といわきの物語
DUO
オリジナルショップ
定期購読
リンク集




 2003年から毎年出版されている『手術数でわかる いい病院』(朝日新聞出版)の編集長で、週刊朝日編集部の坂田一裕さんの講演会(福島県朝日会いわき支部主催)が26日、市労働福祉会館で開かれた。坂田さんは「いい病院の選び方」と題して、がん治療、いまの日本の医療、いい病院をどう選ぶかの3つのテーマで話した。



がん治療
  いま、がんは日本人の2人に1人がかかる。性別で見ると、男性は2人に1人、女性は3人に1人。とても他人事ではない。1981年以降、日本人の死因のトップはがんで、ずっと右肩上がりになっている。年間100万人亡くなるうちの3割、33万人ががんで亡くなっている。次いで心臓病、脳卒中と続く。
 一番の理由は高齢化。それを加味すると、がん患者は横ばいからやや減っている感じ。がんは怖がる病気でなく、普通 の病気になっている。男性で多いのは胃がん、肺がん、女性は大腸がん、乳がん。肺がんのリスクを下げるのは禁煙。大腸がんは食生活の変化が大きい、乳がんは四十代を超えるとリスクが高まる。
 がんの治療には手術と抗がん剤、放射線の3つがあり、それらを組み合わせてその患者にいい治療をしている。では、抗がん剤で治るのか。抗がん剤の有効性は、がんが縮小したかどうか、がんの面 積が半分以下になった状態が1カ月以上続く場合をいい、約3割以上の有効性があれば、抗がん剤と承認されている。
 がんが画像上、消失することを完全寛解、半分以下になることを部分寛解と言い、治ったことを意味しない。目に見えないだけで残っていることがよくあり、有効=治癒ではなく、がんが再び増大することもある。
 がんの手術は以前、根こそぎ、取れば取るほど治ると言われていたが、いまはできるだけ小さく取る。その転機はアメリカの乳がん温存手術のデータで、1880年のすべてを取った手術と、1970年代の温存手術の生存率が変わらない。できるだけ乳房を残そうという時代になっている。  ただ『いい病院』のデータでわかるように、病院間で差がある。乳がんの場合、国立がんセンター(手術数が3番目に多い)でも温存はまだ五五%。病院のレベル、それに患者の考え方などで違ってくる。
 体に負担の少ない手術もある。胸腔鏡下、腹腔鏡下、内視鏡、ラジオ波焼灼術(外から針をさしてがんを焼く)などで、術後の回復が早く、感染の心配も少ない。しかし新しい技術なのでレベルに差があり、内視鏡などは早期でないと難しい。
 放射線治療は体に負担が少なく、切らずに治せるが、日本は利用率が低い。アメリカの65%、ドイツの60%、ロンドンの50%に対し25%。その原因は放射線治療医が600人ほどしかいず、施設は約600あるが、治療医がいるのは350施設ほど。放射線技師、医学物理士も少ない。これまでの手術優先主義の弊害と言える。

いまの日本の医療
 日本の医療の現状は医師の過酷な労働と訴訟リスク、救命医と産科医の不足、技術と人手の地域間格差、クレーマー患者(過剰な権威意識を持った患者)の増大から、医療崩壊と言われているが、本当に医療は崩壊しているのだろうか。
 日本の医療はバターナリズム(患者の最善の利益の決定と責任は医師側にあり、医師は自己の専門的判断を行うべきで、患者はすべて医師に委ねればいい)から患者主体へ変わってきている。それにインフォームドコンセント(患者に説明し、納得、同意してもらう)、セカンドオピニオン(主治医以外の第二の意見を聞く)などもされるようになっている。
 1993年は医療安全神話の崩壊の年だった。横浜市立大学の附属病院は肺を手術する患者と、心臓を手術する患者を取り違えて、それぞれ手術してしまった。東京の広尾の病院では消毒薬を患者に点滴して死亡させた。
 それ以降、医療事故の報道が増えてきた。マスコミが騒ぐから医療崩壊が進む、と言う人もいるが、前から医療過誤はあった。何とか医療を変えたいという思いの報道で、ジャナリズムの役割でもある。
 医療をよくするためにはまず、情報公開、それに技術差を認め労働の価値に見合った診療報酬、患者と医療従事者が尊重し合う関係、患者は過度な権威意識を持たないことが必要。わたしはいまの日本の医療を、医療崩壊とは思っていない。
 患者の権利を守ることは昔より進み、ガン告知もされ、患者が自分の病状を知った上で、医師と一緒に治療している。志の高い医師はたくさんいて「わたしは休みたくない。1回でも多く手術に立ち合い、○○先生の技を盗みたい」と思っている。98%ぐらいのレベルでいまの医師は頑張っている。

いい病院の選び方
 『手術数でわかる いい病院』を鵜呑みにしてはいけない。情報の1つとして活用してほしい。手術数は医療の質を見極める目安。手術数の多さは医師の技量 の高さに結びつく認識が医学界に広くあり、看護師や技師など医療スタッフの充実を含め、病院全体の質の高さも見込める。また病院の特徴、治療の動向や利点、欠点もわかる。例えば心臓の手術は、年間300例以上でないと1人前とは認められない。
 データをどう読みとるかが大事。客観的データをしっかり把握し、その上でいくつかの病院に絞り込む。実際にその病院に行って雰囲気を感じ、医師と話してみるのもいい。疑問を感じたら、セカンドオピニオンも遠慮せずに活用する。手術の成績が前提だが、実は患者と医師との相性も大事。病院選びの決断は患者がする。
 患者主体の医療とは、医療従事者が患者のことを考えてすべてやってくれることではない。「患者さま」と呼ぶ病院も気持ち悪い。患者自ら情報を把握して、医師たちと信頼関係を結び、最善の治療をすることだと思う。
  わたしたちが医療の取材をする場合、医療の知識は医療従事者に比べて、圧倒的に少ない。でも、わからないからと、医師の言っていることをそのまま書くことはできない。ちゃんと調べて書く。患者側に立って、どういう意味があるのかというやりとりをしながら、記事を書いている。
 患者の側に立つというのはメリット、デメリットもちゃんと伝えているかということで、例えば週刊朝日で連載している「新名医の最新治療」でも、最新治療は実験的な部分もあるので、セカンドオピニオンの欄をつくって、この治療は本当にいいのかどうかを評価している。
 『手術数でわかる いい病院』のほかに『がんで困ったときに開く本』『新「名医」の最新治療』『Q&Aでわかる「いい歯科医者」』なども出版しているが、医療系の雑誌を漫然と作っているのではない。医者側の都合のいい話を垂れ流すのではなく、患者、読者の立場に立って編集している。








日々の新聞風の通 る家いわきクロニクルオンブズマン情報
編集後記田人お伽草紙草野天平の頁日比野克彦のページ
フラガールオリジナルショップ定期購読リンク集

 
  画面上へ