11月25日から12月1日の1週間だけイタリアに行ってきました。
ローマから世界最古の道であるアッピア街道を訪ねてのスケッチ旅行です。2000年前のローマ時代に建設されたこの道は、現在においても一部がそのままの姿で残っており、驚くことに実際に道路として今も使用されていたりするのです。
2000年使用され続けてきたこの道は石畳で舗装されており、その表面は長年の車輪(昔は馬車・今は車)によって轍(わだち)ができているのです。石に轍です!
普通は土のような柔らかいものにつくのが轍なのですが、硬い石に轍ができるなんていうことはいったいどういうことなんだ!
その道はよって平らではありません。でこぼこのがたがた道です。車に乗って走ると車内の会話は止まります。舌を噛みそうでみんな歯を食いしばって、前方の石畳が切れてるところを見つめながら、体の揺れで2000年の間に旅した人々の気持ちを感じ取って行くのです。
視線を低くして、地面すれすれに顔を近づけると、石は複雑な丸みを帯びながら複雑であり、生命的な造形物がそこにあります。その形は彫刻作品と言ってもいいでしょう、手でその丸みを触りまくってきました。自然な丸みとは違って、人間が人工的に演出した行為によって現出してきた彫刻作品といえるのはないでしょうか?
あらためて道について考えました。今私たちは「道」があって当たり前、と考えているかもしれません。けもの道などのようにそこを歩けば道が出来る、だから道なんていうものは人間がつくらなくても、もともとあったんだというのが多くの考えかと思いますが、このアッピア街道は全長600キロメートルに及び、地下2メートルの基礎工事を行った一大土木事業なのです。建物と同じ建造物といって良いでしょう。まさにローマ人が最初に道をつくった、といえるものであり、道を発明したのだと…。
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