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トットちゃんの恋人

 テレビ朝日系のお昼のドラマ「トットちゃん!」が終わった。全60話、トットちゃんのパパとママの出会いから少し前まで、トットちゃんの半生が描かれた。
 ストーリーの原案は黒柳徹子さん自身、それを大石静さんが脚本にした。ドラマ終盤から登場した城田優さん演じるトットちゃんの恋人で、国際的なピアニストのカール・祐介・ケルナーがいまも気になっている。
 ネットを見ると、ブルガリアのピアニスト、アレクシス・ワイセンベルク(1929-2012)ではないか、との推測が多い。ユダヤ人だったため、第2次大戦の終わりに、亡命に失敗して母と強制収容所に収監された。その時、ふたりを救ってくれたのは、叔母からもらったアコーディオンだった。
 幼いころ母からピアノを教わり、10歳で演奏会を開いたワイセンベルクは、音楽好きの看守に頼まれて、アコーディオンでシューベルトの曲などを演奏した。その看守に助けられ、トルコに亡命してエルサレムの音楽学校で学び、終戦の翌年にアメリカのジュリアード音楽院に入学した。
 27歳でパリに移り、フランスの市民権を得て、10年間は表舞台から遠ざかり、技術を磨き、レパートリーを増やすことに費やした。37歳の時に活動を再開。初来日は1969年、82年には「徹子の部屋」にも出演している。2001年の演奏会が最後になった。この間、パリからスペイン、スイスへと移り住み、2012年にスイスで亡くなった。82歳、晩年はパーキンソン病との闘いだった。
 ほんとうのことはわからないし、わからなくていいのだろう。でも収容所でのアコーディオン演奏は、トットちゃんのパパの守綱さんがシベリアに抑留されていた時、みんなに聞かせたヴァイオリンの演奏ともつながる。それに実際、徹子さんは外国人と40年にも及ぶ、遠距離のいい恋をしたという。
 「そのパーソナリティと洞察力は素晴らしく、20世紀を代表する演奏家」と、カラヤンに言わせたワイセンベルク。「氷と炎のピアニスト」と呼ばれ、演奏は繊細で透明感があり、技巧的に鋭く、流麗、クールで熱い。

 
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