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ホセ・カレーラスさんのこと

 いわきでのコンサートを翌日に控えたアリオス大ホールのステージで、いわきの中学・高校生たちとのリハーサルを終えたホセ・カレーラスさんはピアノのいすに腰かけ、取り囲む記者たちの質問に答えた。
 カレーラスさんは1946年、スペインのバルセロナ生まれ。幼いころから才能をあらわし、異例の若さで世界有数の劇場に立ち、若くして天才と言われた。  絶頂期の87年、白血病になり、近親者に適合者がいなかったため自身の骨髄を移植し、翌年、ステージに帰ってきた。またホセ・カレーラス国際白血病財団も設立し、白血病の研究や骨髄バンクなどの支援を始めた。
 「三大テノール」の活動もその財団への寄付を目的に、ルチアーノ・パヴァロッティとプラシド・ドミンゴとユニットを結成し、90年のイタリアワールドカップの前夜祭に、初のコンサートがローマのカラカラ浴場で開かれた。その後もワールドカップの度にコンサートは開催され、世界ツアーも数多く行われた。
 3人でのコンサートは2003年が最後となり、2007年にパヴァロッティが亡くなって「三大テノール」の活動は終止符が打たれた。
 いわきの中学・高校生と共演した「鳥の歌」はカタロニアのクリスマス・キャロル。キリストの生誕を祝うために鳥が集い、歌う様子が描写 されている。チェリストのパブロ・カザルスが1971年、フランシスコ独裁政権時代に国連本部会議場で「生まれ故郷のカタロニアの鳥はPeace、Peaceと鳴くのです」とスピーチし、世界的に知られるようになった。
 カレーラスさんに「この歌に込めた思いは?」と尋ねると「カタロニアではみんなが心に留めている曲で、カタロニア出身の私として選びました」と語った。いま、スペインからの独立運動がニュースになっているが、情感にみちたその歌に、さまざまな思いが込められているように感じた。同時にいわきの生徒たちとの美しいハーモニーに、希望と未来が見えた。

 
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