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100年の家のものがたり

 ようやく春が訪れた三和町上三坂で、改修を終えたOJONCO館を取材しながら、J.パトリック・ルイスの文で、絵はロベルト・インノチェンティの絵本『百年の家』(講談社)を思い出した。
 一軒の古い家の100年の歴史を、トーンを抑えた緻密な絵と、詩的なモノローグで伝えている。始まりは1900年、ある日、キノコと栗を探しにきた子どもたちが、石造りの廃屋を見つけた。扉の横板に「1656」と建てられた年が刻まれている。250年の間に、住む人のいない家になった。
 それが子どもたちの進入で目覚め、翌年には大家族が移り住み、家を改修して、ブドウの木を植え、止まっていた時計が動き出した。根づいたブドウの木は強い品種に育ち、娘も結婚して家族が増え、穏やかでしあわせな日々が続いた。
 ところが、2度の戦争が家族と家を翻弄する。そして戦後、穏やかな日々が戻り、いくつかの別 れを経て空き家となり、そのうち朽ちて果て、20世紀の終わりに新しい家が建築される。
 静かに淡々と時を追い、その時々の家と家族の状況を伝える。それだけの物語なのに、読み終えた後、何気ない日常の営みがいとしく思え、日々の積み重ねが百年の歴史に繋がることを再確認する。
 改修を終えたばかりのOJONCO館はこれからどんな時を刻むのだろう。

 
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