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第363号

いわき点描
イオンモール小名浜

ストリートオルガン129
 

画・松本令子

リメンバー・ミー


 母方の曾祖母の50回忌と、祖母の13回忌の法要が3月末に行われた。読経のあと菩提寺のご住職は、参列した玄孫(祖母からは曾孫)の小学生や幼稚園児たちに「みなさんはマツさんも、テル子さんもご存じないでしょう。でも、おふたりがいて、みなさんがあるのです。このあとの会食で、おふたりがどういう方だったか、よく話を聞いて知ってください」と話された。
 弔い上げの50回忌を迎えたマツは明治22年生まれ。初めての曾孫のわたしでさえ、寝たきり姿の記憶しかない。ただ、おばあちゃん子だった母や周りから、3度の食事を2度に減らしても上の学校に行きたいと両親に頼んだことや、夏目漱石の「草枕」を暗誦していたこと、苦労して田畑を広げたこと、小さなわたしをとてもかわいがってくれたことなど、人柄や思い出話を繰り返し聞いているので身近に感じている。

 曾祖母と祖母を偲んだあと、映画「リメンバー・ミー」を観た。数週間前に絵本『だいすきな ぼくのかぞく』(小学館)を書店で見つけ、そそられたからだ。映画のプロローグ的なものがたりで、主人公の少年ミゲルが音楽と出合うまでを描いている。ミゲルの家では代々、音楽を奏でることも、聴くことも禁じられていた。
 しかし、ミゲルは家族に内緒で音楽を愛していた。ある日、楽隊が捨てた壊れたギターを見つけて持ち帰り、修理して鳴らしてみた。「その奏でた音がいつか曲になり、だれかの心を彩 る日がくるかもしれない。でもまだ屋根裏部屋でギターを抱える普通 の男の子」と、絵本は余韻を残して終わっている。
 映画のミゲルはかなりギターの腕を上げ、いまは亡き伝説のミュージシャンのエルネスト・デラクルスを真似て、屋根裏部屋でこっそり弾いていた。その腕前は天才的だったが、ミュージシャンになる夢は家族に隠していた。
 先祖の魂を迎える、年に1度の死者の日。ミゲルは家のオフレンダ(祭壇)に飾られた古い家族写 真をきっかけに、高祖父がデラクルスではないかと推測する。そして墓地の奥にあるデラクルス霊廟に忍びこみ、美しいギターを奏でた瞬間、死者の国に迷い込んでしまう。
 そこには写真でしか見たことがない祖先たちが暮らしていた。けれど死者の国に迷い込んだ生きている人間は、日の出までに元の世界に戻らないと体が消え、永遠に家族に会えなくなってしまう。そして、死者たちも生者の国のだれからも思い出してもらえなくなった時、2度目の死が訪れる。
 ミゲルの家族には、ある秘密があった。すべての謎を解く鍵は、デラクルスが歌うミゲルの大好きな曲「リメンバー・ミー」に隠されていた。

  リメンバー・ミー お別れだけど
  リメンバー・ミー わすれないで
  たとえ離れても心ひとつ
  おまえを想い 唄うこの歌

 映画を観た日は終日、ミゲル役の声を演じた石橋陽彩(ひいろ)君が歌う主題歌が耳につき、気づくと口ずさんでいた。ある年齢になると、家系図を辿ってみたくなる。先祖はどこからやってきて、どういう人だったのかを探り、調べたくもなる。
 家族の歴史を知ることは、自分の存在を確かめる旅でもあり、それからの道標になる。その意味でも、先祖のストーリーを伝えていくことは大切で、思い出を積み重ねることが、曾祖母たちを生かし続ける。

 
 

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