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週刊アスキーで紹介されました。

読売新聞福島版で紹介されました。

 4月に亡くなった、作家で劇作家の井上ひさしさんの故郷、山形県東置賜郡小松町(現在は川西町)を訪ねた。周囲を山々に囲まれた置賜盆地に広がる田園地域で、昭和30年に近隣の村と合併して、最上川の西側にあるから川西町と名づけられた。
 明治11年の夏、イギリスの女性旅行家のイザベラ・バードが滞在し、著書『日本奥地紀行』で「鍬で耕したというより鉛筆で描いたように美しい」と誉め、「実り豊かに微笑する大地であり、アジアの理想郷」と記している。井上さんはその土地で、中学2年生まで過ごした。

 山と田畑を持つ小地主で、薬局と文房具屋と本屋を兼ねた店をしていた家の次男坊。五歳の時に、小説家志望の父を亡くし、それからは母が独学で薬剤師の免許を取るなどして、3人の息子を育てた。
 ものごころついた時から、身近に本があった。幼い井上さんが「なぜ、父さんがいないのか」と聞くと、母は本がぎっしり詰まった書棚を指して「これを父さんと思いなさい」と、答えたという。
 周りの大人たちの影響で野球と映画に熱中し、置賜最初のスイッチヒッターを名乗り、映画の上映や芝居が行われた小松座に通 った。家に出入りしていた闇屋の青年について東京へ行って、後楽園で野球観戦し、帰りに上野近くの映画館に立ち寄り、時には浅草のSKDや日劇まで足をのばした。
 「本と野球と映画――それが僕には決定的でした。結局僕は、小さい頃の記憶にあるものを、もう一度身の周りに集めようと思って、後半生を生きてきたような気がする」。井上さんは著書でそう言っている。故郷をかなり嫌っていた時期もあるが、ほんとうは帰りたい大好きな場所だった。

 闇屋の青年について東京へ行くために汽車に乗った羽前小松駅からのまっすぐな通 りに、井上さんの家はあった。いまは喫茶店「サンゴ」になっている。その路地を曲がると、母校の小松小学校の校門が見える。井上さんの蔵書が収蔵されている遅筆堂文庫の辺りも遊び場だった。

 夏が過ぎ 風あざみ
 だれの憧れにさまよう
 青空に残された 私の心は夏もよう

 井上少年の姿を追って小松小学校の界隈を歩いていたら、陽水の「少年時代」のメロディーが頭のなかで巡った。もうすぐ、夏が終わる。


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